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公開日:2023.06.19
更新日:2023.06.20

商標の『区分』とは?

 商標についてよくお受けするご質問の1つに、商品及びサービス(役務)の区分に関するものがあります。全ての商品又はサービスは、第1類~第45類の区分のいずれかに属することになります。

 商標出願の願書には、その商標を使用する商品やサービスと共に、それらが属する区分を記載する必要があります。

 他人の商標が同じ区分についてすでに登録されていても、指定した商品やサービスが異なると同じ商標を登録できる場合があります。一方で、商標の審査において全く異なる区分が指定された他人の商標によって登録が拒絶されてしまう場合もあるため、不慣れな方は少し混乱するかもしれません。

 今回は、商標出願に必要となる商品及びサービスの区分について解説します。

1.「区分」とは?

 商標については、指定する商品やサービスの性質や関連性に基づいて、それらを分類するための45の区分(1類~45類)が設定されています1類~34類は、商品を分類するための区分であり、35類~45類は、サービスを分類するための区分です。

 例えば、ハンドバッグ、リュックサック、及びスーツケースなどの商品を含む「かばん類」について商標登録したい場合には、18類を指定して商標出願を行う必要があります。

 また、インターネット広告、新聞による広告、及びテレビジョンによる広告などのサービスを含む「広告業」について商標登録したい場合には、35類を指定することになります。

 

2.あなたの商品やサービスはどの区分に属する?

 さて、あなたの商品やサービスがどの区分に属するかを調べるにはどうすればよいでしょうか。

 特許庁が作成・公表している「類似商品・役務審査基準」では、第1類~第45類の各区分に含まれる商品又はサービスについて、類似関係にあると推定されるものがグルーピングされています。

 例えば、18類に含まれる商品として、類似商品・役務審査基準には、「かばん類,袋物」が四角枠で囲まれた見出しの商品として記載されています。その下には、「かばん類,袋物」に含まれる(または類似する)可能性のある商品が示されています。ここで、「かばん類」と同じ四角枠で囲まれた「袋物」は、「かばん類」と類似する商品として扱われる(推定される)商品です。

 

 また例えば、35類に含まれるサービスとして、類似商品・役務審査基準には、「広告業」が四角枠で囲まれた見出しの商品として記載されています。その下には、「広告業」に含まれる(または類似する)可能性のあるサービスが示されています。

 

 このように、一般的な商品やサービスについては、類似商品・役務審査基準を参照することにより、自分の商品やサービスがどの区分に属するかを確認することができます。

 

3.同じ区分に類似しない商品が含まれる?

 

 

 区分の18類には、「かばん類,袋物」だけでなく、例えば、「傘」などの他の商品も含まれています。

 

 では、同じ区分に含まれる「かばん類,袋物」と「傘」は、互いに類似するでしょうか。

 特許庁では、商品やサービスの類似関係を判断するための目安として「類似群コード」を使用しています。「類似群コード」は、数字とアルファベットの組み合わせからなる5桁のコードです。

 例えば、上述の「かばん類」については、四角枠の右側に記載された「21C01」が類似群コードとなります。同様に、「傘」については、「22B01」が類似群コードとなります。それらの類似群コードは互いに異なるため、「かばん類,袋物」及び「傘」は、互いに類似しない商品であるということがわかります。

 したがって、例えば、あなたが希望する商標が、他人によって18類の「かばん類」についてすでに登録されていても、18類の「傘」については登録できる可能性があります。

 区分の18類には、「かばん類,袋物」及び「傘」の他にも、例えば、「ペット用被服類」(類似群コード:19B33)、「携帯用化粧道具入れ」(類似群コード:21F01)、及び「乗馬用具」(類似群コード:24C02)などが含まれており、それらも、互いに類似しない商品ということになります。

 

4.異なる区分に類似する商品が含まれる?

 上述の「類似群コード」は、異なる区分の商品やサービスについて同一のコードが付される場合があります。

 例えば、18類「かばん類」の類似群コード「21C01」は、16類「預金通帳用カバー」にも付されています。つまり、「かばん類」及び「預金通帳用カバー」は、類似群コードが互いに同一であるため、互いに類似する商品ということになります。

 したがって、例えば、あなたが希望する商標が、他人によって16類の「預金通帳用カバー」について登録されていると、18類の「かばん類」については登録できないことになります。

 なお、そのような類似関係は、商品の間のみに限定されるものではありません。商品とサービスの間でも類似関係が生じる可能性があります。

 例えば、35類の「かばん類の卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(類似群コード:21C01)には、18類の「かばん類」と同じ類似群コードが付されています。

 

5.最後に

 以上、商標の『区分』に関して基本的な事項を解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。まとめると、以下のようになります。

  • 商標には、指定する商品やサービスを分類するための45の区分(1類~45類)が設定されています。
  • 同じ区分に類似しない商品が含まれる場合があります。
  • 互いに類似する商品やサービスが異なる区分に含まれる場合があります。

 商標に関してご不明な点や、商標の出願や登録のご要望がある場合には、お気軽にご相談ください。ご相談はこちら

弁理士 木村 政彦

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