twitterやInstagram等では、「#(ハッシュマーク)」の後に(キーワード)を記載した「ハッシュタグ」が広く使用されています。
ここでは、他人の商標にハッシュマークを付したハッシュタグを使用した事例(令和3年9月27日判決(大阪地裁 令和2年(ワ)第8061号))について紹介します。
ハッシュタグは、twitterやInstagram、メルカリ等において、キーワードやトピックで検索したときにヒットするように付与するものであって、キーワードやトピックを分類するためのラベルとして機能するものです。SNS等の記事を投稿する際に、自社製品の商品名や、関連するキーワード等を含むハッシュタグを付与することが行われています。
上記の事例では、メルカリ上において、他人の商標をハッシュタグに含めて、「♯(他人の商標)・・好きの方にも」のように表示して、自作のバッグを販売を行っていた者に対し、商標権侵害に該当するとの判決が下されました。
「♯(他人の商標)・・好きの方にも」の表記は、販売しているバッグが、商標権者らによる製造・販売ではないことを明示しており、出所を明示する態様では使用されていないとも言えます。しかしながら、裁判所は、「・・好きの方にも」の表示(打消し表示)があったとしても、出所の誤認の虞を打ち消すには足りず、商標的使用に該当すると判断しています。
上記の事例では、他人の商標をハッシュタグに含めることにより、 自らの商品やサービスに誘導する行為(フリーライド)に近いものと見做されたためとも考えられます。そのため、ハッシュタグに他人の商標が含まれていた場合に商標権侵害に該当するかは、個々の事案に即して判断する必要があるともいえます。
但し、SNSを利用した販売促進においては、他社の社名やブランド名をハッシュタグに含めた場合、商標権侵害の虞があることに留意する必要があります。